小市民のイージーライフ

日常生活の様々な話題を綴るブログですがしばらくは小説を書いてみます。

    鮎釣り

     僕はオトリ缶をさげると急いで河原への小道を下りた。

     目の前に川が開けたときに釣り人が一斉にこちらを見た。


     少しひるんで僕はお辞儀をした。

     川の中にオトリ缶を沈めるとオトリはさらに元気に泳ぎ回った。

     初めて自分一人で友釣りができるのだと嬉しくなった。


     再び車に戻るとタイツを履いてシャツにベストにタモ網に竿と準備は万端だ。

     いざ、と河原に下りて釣り場を探した。


     一番下手の瀬が空いている。

     先客のじゃまにならないように川べりの藪を縫いながらオトリ缶をさげて下った。


     到着したら遠目で見たより流速が速い。

     対岸は崖になっており雑木が覆い被さっている。


     そこから木漏れ日が直接目に当たった。

     まぶしさに思わず帽子のつばを下げる。


     オトリ缶を手元に寄せてしゃがみこむとタモ網にオトリを移した。


     オトリは二匹とも元気にタモ網の中で跳ねた。

     一匹をオトリ缶に戻すと残った一匹に鼻カンを通す作業に入った。


     これが初心者の第一関門だ。

     何度か祖父に教えてはもらったが、鼻ではないところに無理矢理鼻カンを差してオトリを弱らせてしまったこともあった。


     オトリの顔を上げて鼻をじっくりと探した。

     あまり悠長にやればオトリが弱ってしまう。


     鼻の穴らしきところを見定め一挙に鼻カンを押した。

     スコンっと鼻カンがまわって収まった。


     自分でも驚くほどきれいに鼻に通った。

     次に尻ビレの付け根に逆針を打つ。


     この逆針に錨針がハリスで繋がれていて野鮎が掛かる仕組みになっている。

     僕は胸を躍らせて竿を立てた。


     オトリをいよいよ瀬に送り込むこととなった。

     そっと流れの緩いところにオトリを誘導した。が、直ぐに瀬のきつい流れに押されてオトリが水面に浮き上がってしまう。


     二、三回そのようなことが続いた後、オトリが白い腹を返して全く沈まなくなった。


     手元に寄せてみるとオトリが死んでい

     わずか五分ぐらいの間の出来事だった。

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    「あはい、お願いします」

     と僕はちょこんと頭を下げた。


    「どちらからおいでなさった」

     と男が訊く。


    「津田です。あ、徳島市内の」

     と答えると男は鮎をオトリ缶に移しながら、「へー、津田って海の直ぐそばやろ。なんでまた鮎に」

     と口元を緩めた。


    「転勤族なので。もともとは山育ちですから」

     そう言うと男は納得したような表情をして、コンテナハウスに貼り付けてある大きな地図を指さした。

    「ここで昨日四十七匹釣れてます」

     男は現在地から最短で行ける近道を僕に教えた。


    「ブクブクを持ってなくても十五分ぐらいで着きますよ」

     またブクブクと言われた。おそらくオトリ缶に空気を送るポンプのことだろう。


    「ただこのオトリ缶では着いた頃にガタゴト道なんで水が無くなってしまいます。これでもかぶせて行きなさい」

     とタオルを濡らしたのをオトリ缶にかぶせてくれた。


     僕は丁寧にお辞儀をして言われた場所に車を急がせた。


     きっとそのような場所は釣り人でいっぱいなのだろう。

     初心者なのでそのようなところにはあまり行きたくはないが、男の親切に応え無ければという気持ちにもなった。


     現地に到着した。沿道に車が三台止まっている。

     意外に少ないので少し安心をした。


     河原は藪に覆われて見えない。

     ここから小道を歩いて行かなければならない。

     オトリを一刻も早く川の水につける必要がある。


     助手席にあるオトリ缶のタオルをそっとめくった。

     良かった。

     オトリは丸いオトリ缶の中をゆっくりと泳いでいた。

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    気分転換に今まで履いたことのない黄色を買いました。
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    で、青いシャツ着て
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    赤い帽子かぶったら
    信号機ですね( *´艸`)
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    いつも釣果は赤信号が点滅ってか!
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    ニンニク丸かじりで乗り切るどーオー(^^)/
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     僕は礼を言うと急ぎ足で車に戻り、オトリ缶を助手席の足下に置いて車を発車させた。

     赤い橋へとアクセルを踏む。


     近道らしき河川敷の舗装されていない狭い道を飛ばした。

     五分ほどで赤い橋の袂に着いた。


     河原まで車で下りられる道がついている。

     幸い釣り人はいない。

     僕は胸を躍らせながら橋の真下の日陰に車を進めた。


     ふと、オトリ缶に目をやるとオトリ鮎が二匹とも白い腹を返している。

     オトリ缶には水がほとんどなかった。

     スピードを上げた道中にオトリ缶の水が飛び散ちりオトリが死んでいた。


     意気消沈した。恥ずかしくてさっきのオトリ店には戻れない。

     仕方なく僕は別のオトリ店を探すことにした。

     

     オトリ店はいくつもあるのだが、釣り客がいるとどうも気後れして通り過ぎてしまう。

     ついに最上流部まで来たところで、空き地にコンテナハウスでオトリありますの看板を掛けている店を見つけた。


     誰も客がいないので車を止めた。

     初老の男が出てくる。


     赤銅色の顔には白髪の顎髭が蓄えられていた。

     男はいらっしゃいと勢いのある声でタライに水を張り水槽から鮎をいくつもすくって入れた。


    「ええのえらんでよ」

     と男が僕の顔をじろりと見た。

     こまったな、選べといったって初めてだし、だいたい鮎を自分の手で掴んでオトリ缶に入れるなんてできそうにもない。


     と、躊躇する僕を男は察したのか「入れましょか」と目尻を下げた。

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    自分でもこの物欲は病気だと思っています。
    なんで今頃ゼロドライブ狂・・・。
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    今年初めてアマゴでゼロドライブ竿を手にしてから
    鮎のゼロドライブ竿も二本そろえるとは自分でも予想外の重症です。
    新旧そろい踏み。
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    このスペゼロの細さは驚異的。
    きっとすぐに折れるでしょう( ;∀;)
    覚悟のゼロ!
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    極細糸と小バリでちびアユと遊んできます。
    今日は有田川か貴志川の支流で唐揚げ祭りか?!
    はたまた大雨に打たれて退散か( ゚Д゚)
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