寝ても起きても金属糸のことで頭がいっぱいだった。
小遣いはあればあるほど直ぐに使ってしまうタイプだ。
金属糸を買うために友人らとの居酒屋での付き合いを暫し止めることにもした。
どうしても金属糸を使ってみなければ気が済まないのだ。
そしてついに金属糸を購入した。
子供が起きている間は作業ができないので、寝静まってから作業に取りかかった。
普通の裁縫糸で何度も練習してからいよいよ実際のナイロン糸を金属糸に編み付ける作業に入った。
腫れ物にでも触るように慎重な手つきで金属糸を取り出す。
編み付けるためには、常に金属糸を緊張した状態にしておかなくてはならない。
これが意外にうまくいかない。
洗濯ばさみや鉄アレイを持ち出してなんとか緊張をできる状態を作り出した。
金属糸に軽くナイロン糸を結んだ。
ゆっくりと編みつけを始める。
張らず緩まずの状態でリズムよく編みつけた。
なんとかやっとひとつ完成する。
編みつけたナイロン糸をゆっくりと引っ張るとあっさりとすっぽ抜けた。
失敗だ、またやり直し、と何度か編みつけるうちに徐々に慣れてきた。
二十回ほどやったら、ナイロン糸はまったくすっぽ抜けなくなった。
念のために瞬間接着剤を一滴垂らした。
乾いてから慎重にナイロン糸を引っ張ったがびくともしない。
やっと編みつけに成功した。
天井糸の方も編みつけて仕掛け全体が完成するまでにどれだけの神経と時間を費やしたかわからないほどであった。
仕掛けを多く作ろうと水中糸の長さは三メートルにした。
金属糸は十二メートル巻なので四セットの仕掛けができたことになる。
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