週末毎に僕は勝浦川のその場所に通った。
二回目は瀬では無く流れの緩いところが空いておりそこで数匹釣れた。
釣果はいつも数匹で一匹も釣れないときもあった。
僕はみんなが帰っても暗くなるまで竿を繰った。
強い雨が降っても風が吹いても帰らなかった。
自分でも独りぼっちなのにどうしてこんなに意地になるのだろう、と不思議にも思った。
ただ一方で、そうすることによって自分にまとわりついたアクのようなものがすっかり洗い流されるようなそう快感を覚えるのも感じた。
自分には幼い頃からこのように粘り強くこだわる癖があった。
とにかく実践あるのみ、とばかり一度やり始めたら延々とやり続けるのである。
中学校の時にはマラソンに凝った。
毎日がむしゃらに走った。
走れば速くなるだろうと体を痛めつけるように走った。
人より努力すればそのぶんだけ必ず良い結果となって返ってくるはずだと信じていた。
勉強などもそうだ。
全ての科目ができるというタイプではないが、自分が好きになった数学の幾何学などは夜も明けるほどやってテストの点なども先生が驚くほどの点数をとり続けた。
鮎釣りも・・・・・・そのつもりだったのだが、こちらはいっこうに上達する気配が無い。
祖父の指導する釣法は今から思うと前時代的なものだった。
友釣りの黎明期からある瀬で止めて待つ釣りだった。
だいたい祖父の仕掛けには逆バリの付いていないものまである。
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