まいどー! 有田川ダム上の柴崎おとり店です(^^)/

和歌山県有田川ダム上にある柴崎おとり店のサイトです。 鮎釣りの遊漁券とオトリ鮎を販売しております。 鮎釣りの皆さんお気軽にお越しください(*‘ω‘ *) 柴崎おとり店 〒643-0601 和歌山県有田川町押手770-2 ☎073-726-0413

    有田川ダム上の水況などetc.


    アウトドア好き https://clear-cube.info/
    車好き     https://better-plus.info/


    一昨日の晩、飲みに行ってて外人の女性二人とすれ違った。外人の女性と言ってもゆうに70は過ぎたお年寄りだ。
     外人は年寄りの女性でも背が高いなーと思ってたら「ヘ~イ」と呼び止められた。

    「な、なんでしょうか」と振り向いたら「ヘイ、キャユースピークイングリッ」と言う。わたしはとっさに「え、いやぁ ジャ、ジャパニーズ オッケー ノ~イングリッシュ」と返した。

    「オー」と両手を広げて見下ろす外人女性たち。目を丸めて今度は「オ~サケェ」を連発する。
    「オ~サケェ?」むっ大阪かな。
    と、やな思い出がフラッシュバックした。実は過去に「オ~サケェ」のトラウマがある。

     20年前ぐらいのことだが、友人らとお酒を飲んで終電に間に合わずホテルに泊まった。翌朝、自宅に帰ろうと阪神電車に乗ったら隣の若い外人女性に話しかけられた。

    「なんじゃらかんじゃらオ~サケェ」と言っている。
    てっきり「あんたお酒くさいよ」と言われたと思い「イエスタディ、トゥディ、オ~サケ」と身振り手振りで言い返した。

     そしたら首を激しく横に振りながら「ノーッ」と両手を広げる。 
     わたしは受けたと思いほんとに酒臭い息を吐いて自分の鼻をつかんだ。

     そんなことをしていると近くのおっさんが寄ってきた。
     そのおっさんは笑顔でわたしたちのやり取りに絡み、流ちょうな英語で話かけた。

     大きくかぶりを振って納得するような外国人女性。
     どうやら「オ~サケェ」は「大阪」のことだったようだ。「この電車は大阪に行きますか?」とわたしに訊いたらしい。
     わたしは乗客から笑われ赤っ恥をかいたことに気が付き赤面した。

     このお年寄りらもまた、大阪のことだなと思った。ら、二人そろってグラスをあおるゼスチャーだ。今度こそ間違いなく酒だ。これで大阪だったらコケルゼと、わたしも同じゼスチャーで「オ・サ・ケ」ね、と返した。「オーイェスイェス」と二人が笑う。

     わたしは目の前にあった「がんこ寿司」の看板をさして「ヘィ、ガンコガンコ。オサケ ガンコにアリィマース」と言った。
    「オーノー、オンリーオンリー」と外人さん。
    「え、オンリー。オー だけ ネェ だけ」とわたし。
    「ダケェ? ノーノー、オンリーオンリー」と外人さん首をかしげる。

     もぉわけわからんわと、あきらめたわたしが両手を広げ「ヤッパ ワカリマシェ~ン」とカタコトで言うと「オー、ガール オー、バイバイ センキュー ねー」って、おいちょちょちょっと、最後確かに「ねー」って言ったぞ! 

     それに二人ともほろ酔いみたいだったし。なんか、ただ遊びいじられただけ、みたいな感じだったよなシラー

     と、ガンコ寿司の鉢巻きおやじを見たらキュッと結んだ口元がかすかに笑っているように見えた。
     わたしはオーノ~と小さくひとり言を言って、またにぎわいの中をふらふらと歩いた。




     駅に着いたらすっかり日が暮れていた。
     通勤帰りの雑踏で、誰かがつまずき玉突きになる。
     わたしは前の人に頭を打ち、背中に後の人がぶつかった。直ぐにスイマセンと言って散っていく人々。ここで終わればよくある話。

     だが、わたしの後ろの人が肩をつかんで離さない。
     そのつかみ方が尋常でなく、あのぅ、と振り向いたら女性らしい。そして、杖が見えた。

    「このままでいいですか」と声が若い。
     わたしは事態を察知し「え、ええ・・いいですよ」と答えた。

    「すいません」と彼女。
    「じゃあ歩きますよ」とわたし。
     彼女はわたしの肩を強くつかんだままだ。正直困ったなと思った。

     家は同じ方向らしい。二人は暗い道を歩速半分以下でぎこちなく歩いた。
     問わず語りで彼女がしゃべる。

     生まれつき全盲で二十歳。JR和歌山駅の近くにマッサージの会社があって、同じような方達とそこに住み、今日は週1の帰宅の日だという。
     1人で帰るのは初めてで、親が許してくれず相当やり合ったと笑うが、わたしは笑えなかった。

     わたしも1人でやってみたいと我を張ることがある。そして実際が思惑通りでなかったということもある。それが今の彼女だろうか。
     話すだけなら普通の女の子。

    「じゃあ花の色とかも?」と訊いて、シマッタと思ったが、「ええ全然、でも形や匂いはわかりますわ」と屈託無く彼女。花を愛でる姿を想像すると胸が詰まる。

     わたしは彼女に比べ、どれほど自由かしれない。
     わたしは彼女をは計り知れない。そして、彼女もわたしを理解できない。

     人間誰でも、内に多かれ少なかれ苦しみや悩みを抱えている。与えられた境遇をちゃんと引き受け、ぎりぎりの所で精一杯生きていく。その点においてはわたしも彼女にも径庭はあるまい。

     2時間半もかけて大阪に通勤しているわたしに彼女が驚く。
    「大変ですね」と気遣われ「えっ・・・ああ」と今度はわたしが驚いた。

    「でも、がんばってくださいね」
    「はい」
     と謙虚にわたしは答えた。

    「あらキンモクセイが咲きましたわね」と彼女がつかんだ手を緩める。
     見上げると大きな木。確かにこのフルーティな匂いはキンモクセイだ。

     キンモクセイは秋の訪れを告げる花。もうこんな季節になっていたのか、とわたしは彼女から教えられた思いがした。
     彼女はまたわたしの肩をギュッと握ると、仕事と生活で独立するのが夢だと語った。

     どれほど歩いたろう。前方の路地に女性が立っていた。
     その子の名前を呼びながら駆け寄ってくる女性。口元を押さえて申し訳なさそうに礼を言うその声がかすれている。

     女性が彼女の手を取った時、わたしは初めて彼女と正対した。
     凛と屹立する彼女。くぼんだ目はかたく閉じられている。
     「じゃあ」と手を挙げて去ろうとすると彼女は「ありがとう」と満面の笑顔をつくった。

     その時、何故か・・・、何故だか急にすがすがしくなって、わたしは、振り返りもせず家路への暗道へと足を進めた。


     毎朝通勤で出会う女性がいる。
     年の頃なら30前後。痩せていて髪を背中まで伸ばしている。

     彼女はいつも足早な通勤ラッシュの群れに飲まれ、そして一人ぽつんと置いて行かれる。
     足が悪く、びっこを引いているのが原因だ。

     ある日、わたしはいつもより早く自宅を出た。
     ずいぶんと手前の信号で彼女の後ろ姿に追いついた。

     彼女を追い越し横断歩道を半分ほど渡ったところで青の信号が点滅しはじめる。
     まさか、と思って後ろを見たら彼女が血相を変えて向かってくるではないか。
     間もなく信号は赤に変わる。

     不自由そうに体を左右に動かしながら一生懸命歩いている。が、どう考えても渡りきるのはムリだ。
     彼女は駆けることができない。
     どんなにがんばっても、健常者の歩く速度の半分程度だ。必死の形相が、私と視線を合わせたような気がした。

     歩行信号が赤に変わる。
     わたしは観念し、横断歩道の途中で立ち止まって彼女を待った。

     車の方に大きく手を挙げ何度も頭を下げた。
     ハンドルを握るおじさんの口がとんがる。
     
     後続の車のクラクションが鳴り、通勤の群れが振り向く。
     彼女は満身で息を切らせ、わたしに追いつくと肩をつかんでよろめいた。
     慌てないで、とわたしは落ち着かせるように彼女の肩を抱き横断歩道を渡りきった。

     一斉にエンジン音を上げて車が発車する。
     彼女は俯くとはぁはぁと肩で息をした。

    「大丈夫ですか」と声をかけると、彼女は息を整えながら「すいませんでした」と深く頭を下げた。
     気をつけてくださいね、とやんわり返しわたしはまた歩き始めた。

     あの状態でなんであんなにムリをするのだろう、とわたしは思った。
     がしかし、よくよく考えると自分だって似たようなことは何度もしていた。

     彼女にどんな事情があったのかはわからないが、下手をすれば車いすや外出もままならないことになっていたのかもしれない。

     外を歩けるって楽しいことだよな。
     少しぐらい歩く速度が遅かったとしても、わたしと彼女の間にさほどの径庭もないよ。

     そう思い直して振り返ると、彼女の不自由そうに歩く姿ががぜん生き生きとして見える思いがしてなぜだか嬉しくなった。

     がんばれ彼女!
     わたしも同じオンリーワン。

     個性はみんな素晴らしい。


    このページのトップヘ